X線連星パルサー4U1626-67のパルス周期

September 27th, 2013 by Tatehiro Mihara

 MAXI/GSCのデータを用いて、X線連星パルサー4U1626-67のパルス周期(約7.6秒)とパルス周期の変化率(約-2.6×10-11 秒/秒)を求めました。

 下の図はMAXIのデータを2009年10月6日から2012年11月18日まで60日ごとに区切って求めたパルス周期の周波数(赤)をFermi/GBMで得られたもの(黒)の上に重ねて描いたものです。両者はよく一致していることがわかります。赤い点と一緒に書かれている赤い棒は、MAXIで求めた60日間のパルス周期の平均変化率を表していて、これもよく一致しています。この間、ほとんど一定のレートでパルス周期が短くなっていることがわかります。

gbm_maxi_v_ver2_news_ver21

 さらに詳細な変化を見るために、上で得られたデータ点を直線で近似して、その直線からのずれを表したのが次の図です。これも上と同じように赤い点がMAXI、黒い点がFermi/GBMです。縦軸はずれの(周波数)です。MAXIの点には誤差バーを付けていますが、ほとんどの点で赤丸の中に入ってしまうくらい小さな誤差であり、非常に精度良く求められていることがわかります。途中で1回大きく折れ曲がっている所がありますが、この点でパルス周期の変化率が急に変わったということを表しています。さらにこの点を境にX線の明るさが明るくなっていたこともわかり、パルサーに降着するガスの量が急に変化したことが原因と考えています。

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ベテルギウスを公開リストに加えました

January 20th, 2012 by Mitsuhiro Kohama

オリオン座のベテルギウスは年老いた赤色超巨星で、ここ100万年以内に星の死である超新星爆発を起こすと考えられています。地球からの距離が640光年と非常に近く、もし超新星爆発が起こると可視光では半月より明るく輝くと期待されています。

MAXIが観測しているX線でも短期間に非常に明るく輝くと予測しており、その観測データは大変貴重な物となるでしょう。現在のところ、ベテルギウスからのX線は検出されていませんが、もしかしたら明日起こるかもしれない超新星爆発を確実に捉えるため、日々の公開リストに追加しました。

ベテルギウスから放射されているX線の明るさの変化

ベテルギウスから放射されているX線の明るさの変化

グラフは、公開ページで公開しているベテルギウスから放射されたX線の明るさの変化の図を添付したものです。(現在は0に張りついており、有意なX線は検出されていない。時々外れている点は、国際宇宙ステーションの太陽パドル等によってノイズが変化したなどの要因で自動データ処理に失敗しているため。)

横軸は、MAXIが観測開始した2009/8/15日から現在までの修正ユリウス日。

4段のグラフは、それぞれ観測エネルギー領域が異なるもの。上から全エネルギー域(2-20keV),低エネルギー域(2-4keV),中間エネルギー域(4-10keV),高エネルギー域(10-20keV)となる。

公開ページのURLは下記の通り。

http://maxi.riken.jp/top/index.php?cid=1&jname=J0555+074

我々が生きている間に起こる可能性は低いと思われますが、運が良ければ今世紀最大の天体ショーが見られるかもしれません。

この事はMAXIサイエンスニュース39号として、こちらで詳しく書かれています。

2012/01/26 グラフ追加

活発な太陽

September 28th, 2011 by Takayuki Yamamoto

面白いX 線画像がとれました! せっかくなので科学成果ではありませんが、ニュースにしました。

最近、太陽の活動が活発です。

上の図はMAXI が観測した2011 年9 月24 日、1 日分のX 線全天画像です。赤が低いエネルギーのX 線青が高いエネルギーのX 線緑がその中間と、3色で色づけしています。

図中右上のが太陽のある位置です。太陽を直接観測すると観測装置がダメージを受けてしまうため、観測しないようにしています。

それにもかかわらず、太陽の周りには低いエネルギーのX線があふれ出しているように見えますね。

また、図中の左側には2本の赤いラインが見えます。これは宇宙ステーションの太陽電池パネルに反射した太陽X 線です!太陽活動が活発だと時々見えるのですが、ここまではっきり見えたのは今回が初めてです!

太陽は現在、11 年周期で訪れる活動の極小期から極大期になる途中です。今後ますます活発な姿を見せてくれるでしょう。

MAXI にとってはありがたくない事ですが・・・。         T.Y.

「けんびきょう座AU 星」からのX線フレアを検出!

September 6th, 2011 by Takayuki Yamamoto

MAXI は日本時間2011 年09月03 日4 時9 分 に「けんびきょう座AU 星(※1)」からのX線フレアを検出しました。

「けんびきょう座AU 星」はdMe 型(※2) の主系列星です(距離32光年、8.6等星の赤い星)。

太陽と同じ恒星でありながら、太陽の数百万倍のX線フレアを起こします。MAXI はこのような恒星からのフレアを数多くとらえています。

これらを詳しく調べることにより、恒星の種類における活動の違いの解明に繋がることでしょう。また遠方のフレア星の寄せ集めにより「銀河系X線放射」が説明できる可能性があります。

MAXI によって恒星フレアの謎が解明される日を期待していてください!

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MAXI チーム T.M, K.Y, T.Y

注釈

※1 : この「AU」はけんびきょう座の中で変光が発見された順に「アルゲランダー記法」に従ってつけられたものです。

※2 : dMe 星とは「赤色輝線矮星」(d=dwarf=矮星, M=M型=表面温度は3500Kと低い, e=emission=輝線)と呼ばれる天体で、M 型の主系列星(ということは矮星)の中でも水素などの輝線を示す星を言います。強い水素輝線は星の活発な活動を示唆しています。

いて座に出現したX線新星を発見!

September 1st, 2011 by Takayuki Yamamoto

MAXI は8月30日の日本時間22時半頃、「いて座」で発生したX線新星を発見しました。この結果はすぐに連携観測をしているアメリカのSwift 衛星チームに知らされ、追観測により確認されました。MAXI で決めた位置は【赤経=18h36.5m, 赤緯=-19°24.6’  (2000年分点)】です。

この結果、X線新星はMAXI J1836-194 (ATel#3611)と名付けられました。

MAXI の発見後約40 分すると、その通知を受けたSwift 衛星チームからSwift衛星 のガンマ線検出器でも検出されたとの連絡が入りました。MAXI の発見から3時間半後に行われた Swift 衛星のX線望遠鏡により0.5秒角の精度で決定されたX線新星の位置は、【赤経=18h35m43.43s, 赤緯=-19°19’12.1” 】です。同時にその伴星の候補もSwift 衛星の光学望遠鏡により見つかり、その可視光の明るさは V=16.20 等級でした(ATel#3613)。この天体はX線はもちろん、可視光や赤外線のこれまでのカタログにはない、完全に新発見の天体でした。これでMAXI が発見したX線新星は5個目になります。MAXI の観測データによると8月29日には弱いながらもゆっくりと輝きだしたようですが、それほど急速にX線強度が強くならなかったために確認が遅れ、発見当時はかに星雲の強度の1/40程度でした。

このX線新星の正体はまだ謎ですが、各種の天文衛星や地上の光学望遠鏡、電波望遠鏡による追観測で明らかになることが期待されます。

    発見とその後の経緯


MAXI は日本時間2011年8月30日の未明にX線新星を検出し(左図)MAXI J1836-194 と名付けた。MAXI で決めた位置(下図, 誤差を含め青丸)をSwift 衛星チームに知らせた後、Swift 衛星 のガンマ線検出器でも位置を決め(下図, 緑丸)て MAXI/Swift の共同で速報した(ATel#3611)。このX線新星は銀河面より南に 5.6度ほどの位置にある。


その後、Swift 衛星のX線望遠鏡で決めた位置(右図, 赤x)が確定位置として速報(ATel#3613)された。これは新天体発見後の位置決定における典型的なプロセスである。この真夜中 (米国は昼間)の作業に参加したのはMAXI チームから根来、森井、中平、Swift 衛星チームからはKennea 等であった。

上図はMAXI J1836-194のX線強度変化のデータである。X線は30日初め頃から増加したが、弱いままで推移したため日本時間22時25分(赤い矢印)まで発見が遅れた。しかし、Swift 衛星チームよりも先に発見したため、 MAXI の名前がついた天体になった。X線源はブラックホールか中性子星が関与しているようだが、正体はまだ解っていない。

追記

アメリカのRXTE 衛星の観測(ATel#3618)により、MAXI J1836-194 はブラックホールである可能性が示唆されている。(2011年9月1日 3:00 AM)

巨大ブラックホールに星が吸い込まれる瞬間を世界で初めて観測

August 25th, 2011 by Nobuyuki Kawai

MAXIと米国の衛星Swiftおよび地上の望遠鏡の国際協力によって、今までに観測されたことのない現象がみつかりました。2011年3月28日に突然、39億光年遠方の銀河の中心に新しいX線源が出現したことを、Swift衛星が発見。速報を受けてMAXIのデータを調べたところ、こちらにも検出されていました。ちょうど地球の方を向いた光速に近いジェットからX線が放射されていると考えられます。そう考えることによって、遠方にありながらあまりにX線が強いことや、10分という短い時間で変動することが説明できるのです。(相対論的ビーミング効果)

出現前後のX線地図

出現前後のX線半天図

JAXA公式プレス発表は、こちらをご覧ください。ほかに、多数のメディアでも報道されました。

NASAによるイメージCGムービーです。

explain

イメージ・ムービーの説明:ブラックホールに近づいた星が壊されて、大部分が飲み込まれますが、その一部がジェットとなって噴出します

X線連星パルサー GX 304-1 の増光を捉えました

December 10th, 2010 by Motoki Nakajima

MAXI の GSC はX線連星パルサー GX 304-1 の新たなX線増光を検出しました。下の図は、GX 304-1 の光度曲線を軌道周期(X線活動の周期)の132.5日で折りたたんだものです。 図で示してあるように、今回(赤い星印)の増光が始まった時期は前回と比較すると約1週間ほど早く始まっています。これは、今回の増光がプリカーサーと呼ばれる現象である可能性を示しているだけでなく、今後おおきなX線アウトバーストが起きる可能性があることも示唆しています。

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今月の突発事象発見結果 (2010/06)

June 30th, 2010 by Mitsuhiro Kohama

2010/06月には、3件の突発事象をMAXIで発見し、 Astronomer’s Telegram (ATEL)に速報しました。

また1件のXRFを発見し、GCN: The Gamma-ray bursts Coordinates Networkに速報しました。

ISS通信アンテナのメンテナンスにより、2010/06/26の更新を取り止めました。

June 28th, 2010 by Mitsuhiro Kohama

太陽角が70度を越えてISS通信アンテナを冷却することになり、2010/06/25 18:48UTから2010/06/27 06:08UTの間のリアルタイム通信が行われませんでした。一部のデータを除きこの期間のデータは機上のレコーダーに保存されていますが、まだ地上に降りてきてないため、2010/06/26の更新は取り消しました。データが地上に届き次第、欠落分の再解析を行う予定です。

冷却装置のトラブルによるMAXI 観測一時停止

June 9th, 2010 by Mitsuhiro Kohama

2010/06/05 11:42UT頃「きぼう」の冷却装置のトラブルが発生し、MAXI、SMILESの温度が上昇したため、同日13:10UT頃にMAXI、SMILESの緊急停止を行いました。 冷却装置は一時的トラブルだったので、翌日6/6 5:15UTよりMAXIの再起動を行い、現在は問題無く定常運用体制に移行しています。 このため、06:05 13:24UT から06/06 08:50UTの期間の観測は行われておりません。